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POSデータとは?主な分析手法や売上アップに活用できるチェックポイントなど徹底解説

飲食店の経営者や店長の皆さんは、売上予測や仕入れ量の決定、あるいはシフトする人員の決定に普段どのようなデータを使っていますか?
「何となく勘と経験で決めている」という場合もあれば「去年の売上伝票を見て」という方もいるでしょう。
そんな中で意外に活用されていないデータがPOSデータです。POSデータを上手く活用することができれば、ビジネス判断の精度が上がるため、ロスを減らして利益向上が期待できます。

この記事ではPOSデータとその活用方法のポイントをご紹介します。

POSデータとは何か?

POSというと「レジスターのメーカー名だと思っていた」という笑い話があるくらい飲食業界(大手を除く)などではPOSについてあまり知られていません。
そもそもPOSとは「Points of sales」の略で「商品が販売された時点」という意味です。

例えば飲食店でいえば、ハンディターミナルで入力した情報と、レジで会計した情報はすべて、データとして記録され蓄積されています。そういった「いつ何が注文されたか」ということがわかる仕組みがPOSです。

そのPOSシステムで得られるデータがPOSデータになります。

【POSデータの具体例】

  • 売れた商品の名称
  • 売れた商品の値段
  • 商品が売れた日時
  • 商品が売れた店舗
  • 売れた商品の個数

ポイントカードやキャッシュレス決済(QRコードやクレジットカード)など、システムが顧客情報もカバーしている場合は、さらに以下のような属性もPOSデータに加えることが可能です。

  • 商品を購入した方の性別
  • 商品を購入した方の年齢層

ではPOSデータはどのように活用すればいいのでしょうか?
またPOSデータの活用にどのようなメリットがあるのかを解説していきます。

▶ 関連情報:POSレジとは?(POSシステム)

POSデータ活用メリットで解決するビジネス課題

売上集計されたPOSデータは、どのように活用できるのでしょうか。

【POSデータから解決できるビジネス課題例】

  • 販売目標はどれくらいに設定するべきか?
  • 商品開発で何を伸ばしていけば良いか?
  • 商品プロモーション効果がどれぐらいあったか?

POSデータからビジネス課題解決の糸口として有効な情報を見出すことが可能です。
その対象は非常に幅広く、飲食業界を例に具体的にいえば以下のようなことです。

■売上予測の精度アップ

まず日別、時間帯別の売上が過去にさかのぼって取れれば、そのデータをもとに売上予測を立てることができます。たとえば今月15日の日曜日の売上は、まず過去3年間の同じ月の日曜日の売上傾向からだいたいの予測ができます。さらに去年は3連休の最終日に当たったが今年は連休がないということであれば、ほかの連休がない週末売上の傾向を見て「去年の8掛けくらいかな?」などと自分でさまざまな予測をする根拠にもなります。
加えてそれは時間帯別にもできますから、その日曜日のピーク帯はどの程度の来店でオーダー数と売上はどのくらいか、ということまでわかるのです。
このようにPOSデータを活用すると売上予測の精度を非常に上げることができますので、それは以下のさまざまな仕事の精度アップにもつながります。

■仕入れ量、仕込み量の決定

売上予測の中には品目別のオーダー数も入っていますので、それによってその日に使う食材の量も予測できます。ということはそのための仕入れ量、仕込み量の精度も上がりますので、過剰在庫を防いでキャッシュを確保しつつ常に新鮮な食材を使えるということと、仕込んだ食材が残って食材ロスが発生することも防げます。それは、料理のクオリティを上げると同時に、無駄なコストを削減して利益を上げることにつながります。

■メニュー改定、新メニュー開発

また現在「どの料理が」「どのくらい」オーダーされているデータによって、人気のあるメニューがすぐにわかります。それは同じ方向の料理を増やそうというような新メニューの開発や、逆に人気のない料理はすぐにメニューから下げてしまうようなメニュー改定も非常にスピード感を持って実行することができます。
それは「あの店のメニューはいつも改定されていて毎回行くのが楽しい」「食べたくなるメニューばかりが並んでいるので、次もまた来たい」というように、集客力のアップにつながります。

▶ 関連情報:【YouTube】価格改定につながるPOSデータの分析

■キャンペーン時期の検討

売上が曜日単位、日単位、時間単位で集計できますので、キャンペーン時期の検討にも活用できます。たとえば、週の頭の売上が落ち込むから、毎週月曜日から水曜日までワンドリンクサービスのキャンペーンをしよう、とか16時半の開店から18時までの売上が去年より落ちているので、ハッピーアワーを導入しようなどです。
さらには、実は7月は熱い麺類が思った以上に出るから、夏こそ熱い麺で汗を流そう、などの思いもかけないキャンペーンのアイデアが出てくる可能性もあります。

■適切なシフト組みによる人件費の削減

売上予測の精度が上がれば、必要人員が時間単位でかなり正確に分かります。したがって、それまで何となく週末は5人体制としていたシフトを、18時までは3人、21時までは7人、24時までは4人、などのように適切に組むことができるようになるため、人件費が削減されると同時に、必要な時には必要なだけの人員がそろうことでお客様に不満を抱かせることもなくなります。

■食材ロスの把握と削減

先ほどPOSデータから理論原価が算出できると書きましたが、これと実地棚卸で出した原価と比べて差があれば、それが食材ロスです。その金額が多ければ、ロスが多いことですのでポーション管理をしっかりするなどの対策が打てます。

POSデータで知る4つのチェックポイント(飲食業向け)

■毎月の売上を日別に知る

POSデータを使えば1ヶ月分の売上やオーダー数が、集計した状態で見ることができるという点が1番シンプルな活用方法です。
POSシステムが導入されていなければこれは大変な作業で、1件1件の伝票をめくりながら、売上を電卓で足していくしかありません。ましてや、それを料理の品目別に集計するなどということは現実には不可能です。
POSシステムであれば、1件1件の伝票になっているPOSデータを自動で集計し、1か月単位でも1日単位でも、品目別に売上を知ることができます。そして多くのPOSシステムではそれをExcelにダウンロードできるシステムがついていますので、いちいち打ち換えたりしなくても、そのまま自分でさまざまな分析をすることも可能です。

■時間帯別、商品別オーダー数を知る

POSデータの1つ1つ品目ごとのオーダーには、そのオーダーがされた時間も紐づいて記録されています。したがって「どの日時にどの商品がいくつオーダーされたか」という事実がリアルタイムで確認できます。
たとえばポテトフライの時間別のオーダー数が分かり、過去のデータとの比較もできます。そのオーダー数が去年、2年前、3年前より減っていれば何が原因か探ることができます。さらには1伝票=1組ですから、1組あたりポテトフライを何皿注文しているのかまでわかります。POSシステムによっては1組の中の人数も入れることができるものがありますので、1人何杯の生ビールを飲んでいるかまで、日別、曜日別にわかるのです。

■在庫状況が把握できる

在庫管理機能がついていないPOSシステムもありますが、多くの場合は在庫データも持てるようになっています。たとえば「ニンジンが何本仕入れられた」ということがわかり、さらにミックスサラダでレシピ上ニンジンを何本使うかということを入力していれば、ミックスサラダのオーダー数から、リアルタイムで現在のニンジンの在庫量が分かります。

■原価率、人時売上を知る

食材の原価が設定でき、商品別にいくつ売れたかわかると同時に原価がいくら計上されたかということもPOSデータから分かります。ただしそこには食材ロスは反映していませんので、あくまでこれは「理論原価」です。
また、POSシステムの中にはアルバイトの給与管理システムと連動しているものもあり、それを使えば時間帯別、曜日別、月別の「人時売上」も分かります。それまで何となく、ゴミ箱に捨てられている食材が多いのでスタッフに注意していた、というようなことがしっかりしたデータを根拠に指導できるのです。これらによっても、無駄なコストが減り、利益アップに貢献できます。

代表的な3つのPOSデータ分析手法

■ABC分析

ABC分析は、数ある指標(在庫商品の金額や売上など)から重視する評価軸を定め、商品をA・B・Cの3グループに累積構成比の多い順に仕分けして管理する方法です。
重点分析やパレート分析と呼ばれることもあり、複数の商品に対して重要度・優先度を定めることで、各々のグループに最適な在庫数を管理し、販売効率アップを実現できます。
ABC分析を使うことでPOSデータから「売れ筋」と「死に筋」の商品がわかります。ここから売れ筋商品の取扱量を増やして目立たせたり、死に筋の商品の発注を減らすといった売り場全体の販売商品構成最適化を図ることができます。

詳しくは動画解説をご覧ください。
▶ 関連情報:【YouTube】ABC分析って何?

■RFM分析

RFM分析は、Recency (最近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary (購入金額ボリューム)の3指標で顧客をランク付けする手法です。RFM分析によって重要な顧客グループを特定し、それぞれのグループ毎のマーケティング施策を実施することができます。

詳しくは動画解説をご覧ください。
▶ 関連情報:【YouTube】RFM分析の使い方

■トレンド分析

トレンド分析は、商品の販売実績から季節要因を割り出して検討する方法です。
新生活時期に家電の販売が伸びている、または夏場にかき氷が売れているなど、商品販売の需給トレンドを判断しての在庫管理が可能です。また大物家電が売れる春先は送料無料にするなど適切なタイミングで有効な施策を行うこともできます。

■バスケット分析

バスケット分析は、レジ会計された一つ一つの買い物かご(バスケット)で「どの商品とどの商品が一緒に買われたか」中身の傾向をマーケティングデータ解析する方法です。
バスケット分析を行えば、「一緒に売れているものが何か」が分かるため、セットで同時購入すれば特典をつけるなど、売上がアップする効果的なキャンペーンを打つことができます。

詳しくは動画解説をご覧ください。
▶ 関連情報:【YouTube】バスケット分析

まとめ

これまで会計の便利さやオーダーの便利にしか感じていなかったPOSレジシステムが、POSデータを分析・活用することで、売上アップにもコスト適正化による利益のアップにもつながるということがお分かりいただけたでしょうか。

今後は、POSデータを取り入れたデータドリブン経営でビジネスの精度を高め、売上の拡大にぜひ役立ててください。

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