伝統の江戸前寿司×iPad? 築地の人気店を支えるタブレットPOSレジ「ユビレジ」の秘密
町中で見かける機会が増えているタブレットを使ったスマートなレジ。実際どんな風に使われているの?どんなところがメリット?――そんな疑問を、iPad用モバイルPOSレジアプリ「ユビレジ」を導入しているお店に聞いてきました。舞台はトーキョーが世界に誇る一大観光地、築地です。お寿司屋さんを支える最新タブレット……伝統とITのちょっと意外な組み合わせに迫ります。
おいしいお寿司を支えるタブレットPOSレジとは?
今回うかがったのは「つきぢ神楽寿司 新館」。お店があるのは大賑わいの築地場外市場のど真ん中!平日の午前中なのに細い道はどこも人であふれていました。外国人の方も多く、飛び交う異国の言葉を聞いていると、ここが日本であることを忘れてしまいそうです。
築地で10年以上愛される人気の本店に続く第2号店として、3年ほど前にこの地にオープンした同店。アクセスのよさから多くのお客さんは観光客です。世界中からあらゆる水産物が集まる築地市場、ネタの新鮮さはもちろん折り紙つき。競合ひしめく中で人気を集めるこだわりは……?
築地で味わう本格江戸前寿司
まず外せないのは、伝統的な江戸前寿司の味を守るべく、シャリに使用している「赤酢」です。通常の米酢と異なり酒粕を原料に発酵、熟成させており、酵母や麹で自然に赤く色付きます。とはいえ真っ赤ではなく、しょうゆより薄い茶色、めんつゆのような色合いです。酸味と甘みのある香りがふわっと引き立ちます。
もう1つの売りが「炙り」。のどくろ、黒むつ、金目鯛など、お刺身でも食べられる高級魚をあえて炙りで……ぜいたく! 網で炙って焼き色の付いたネタに、岩塩とかんきつでさっと味付けしていただきます。見てるだけでおいしそう。
定番のネタに加え、季節のネタも豊富です。この時期は夏が旬の岩ガキなどがおすすめだそう。日本酒やお寿司に合うワイン(!)の種類も豊富にそろっています。
シャリがわずかに色づいているのが写真で分かるでしょうか。一口食べると印象的なのはやっぱりこの赤酢のシャリ。香りが口の中に広がるだけでなく、口当たりも普段食べるお寿司よりまろやかです。炙りでいただくとまた、香ばしいネタがこの少し甘みのあるシャリにぴったり……!お寿司は人を幸せにする食べ物ですね。ごちそうさまです。
「ユビレジ」で会計をもっとスマートに クレカ決済で外国人観光客も歓迎
さて、そんな伝統を守るお寿司屋さんを支えるレジはiPad!本店と新館同時に「ユビレジ」を導入したのは1年半ほど前のこと。それまで利用していた据え置き型POSレジのサポート切れを機に、スマートなタブレットレジに切り替えたそうです。
Webサイトからアカウントを作成し、iPadにアプリをインストールすればすぐに使い始められる手軽さも魅力です。無料プランとプレミアムプラン(月額5000円)の2種類のプランがあり、無料プランの場合は会計履歴の保存が直前3日分(72時間分)までなどの機能制限があります。プランを問わず、アカウント登録から1カ月は無料トライアル期間となっており、全ての機能を使って使い勝手を試せます。
※ 月額料金は2015年10月時点での価格です
導入コストの削減や、リアルタイムにデータを確認・更新できることなどがメリットとしてあったものの、当初は飲食店向けの機能が少なく、スタッフがタブレット自体にあまり慣れていなかったこともあり、導入にはなかなか苦戦した――と三浦友久専務は振り返ります。
「若い人ならすぐ覚えられるんでしょうが、最初は私もスタッフもなかなか……(笑)。飲食店としてこんな機能が欲しいという要望をこちらから出しながら、ユビレジさんのサポートを得ながら少しずつ活用の幅を広げていきました」(三浦専務)
セットメニューだけでなく、にぎりは1貫ごとに価格が設定されており、ワインや日本酒の酒類も豊富にそろえる同店のメニュー数は約250にものぼります。このように商品数の多い店舗に便利なのが、CSVファイルインポート機能です。商品カテゴリ、項目名、価格などをExcelなどでCSVファイルにまとめ、Webブラウザでアップロードすれば、iPadのレジ本体画面にすぐに同期します。
ランチやディナーなど来客の多い時間が決まっている飲食店は、レジも混み合いがち。「つきぢ神楽寿司 新館」の店内は奥行きがあり縦に細長く、店内は階段が1カ所と、どうしても人も滞留しやすい構造になっています。お客さんが絶えないのも人気店の証ですね。
ユビレジの起動画面(ダッシュボード)には、そんな忙しいお店を支える大事な機能が。会計作業をスピードアップする工夫として、入力中の会計を途中で保留し、アイコン状態で保存できるようになっています。追加でオーダーを入力したい時、終了して決済に進みたい時はもう1度タップすれば再開。接客のスキマ時間に現時点までの会計を入力しておけば、退店時にゼロから打ち直す必要がないとスタッフの皆さんにも好評です。
保留した会計データのアイコンにメモや備考を書き加えたり、ドラッグで位置を自由に移動したりできます。ダッシュボードの背景に店の間取り図などを設定すると、簡易的なテーブル管理機能としても使えるようになっています。これは便利そう。
築地は人気の観光スポットということもあり、ランチタイムには外国からのお客さんの方が多いことも。クレジットカードでの支払いも日によっては半分程度に上るそうです。個人店をはじめ小規模な店舗では導入のハードルの高いクレジットカード決済ですが、ユビレジならiPadにカードリーダーを接続するだけで、専用端末なしで気軽に利用できます。
「Coiney」「PayPal Here ※日本国内でのサービス終了」「楽天スマートペイ ※2016年10月27日に名称変更、現在は “楽天ペイ(実店舗決済)” 」「食べログPay」などのカードリーダー、アプリと提携しており、会計の段階で支払い方法を選択します。クレジットカードをスキャンしiPadの画面上に指をすべらせてサイン。うまく書くのが意外に難しいです。現金での会計処理とほとんど変わらないスピードでスマートにお会計できました。
同店では、会計用のiPadをレジに据え置いているものに加えてもう1台用意しています。混み合ってる時間はテーブルまでiPadとカードリーダーを持って行き、その場で会計しているとのこと。なるほど……カード決済ならお釣りを用意することもないですもんね。持ち運んで使えるのはタブレットならではの利点です。
PCやスマホからも売り上げ確認
売り上げデータはユビレジのサーバにリアルタイムに送信され、iPadはもちろん、PCやスマートフォンからもリアルタイムに売り上げ推移を確認できるのも大きな特長です。Webブラウザからアカウントにログインすると、月別、日別、時間帯別の売り上げ/会計数/客数のグラフを閲覧できます。データから折れ線グラフや棒グラフが自動生成されるので、確認漏れやミスの心配もありません。
「従来のレジではデータの反映に時間がかかり、店舗運営にスピーディーに反映することが難しかった。店にいない時間も手元のスマートフォンで確認できるのもメリット」(三浦専務)
売り上げ確認のほかに三浦専務が参考にすることが多いのは、商品別の売り上げ個数。売れ筋商品の調査、季節のネタの反響を確認など、店舗で接客する中で感じる実感を改めて数字で見られる意義が大きい――といいます。得られたデータは新商品開発などにダイレクトに生かしているそうです。
ネットとリアルの両方でお得に 「Rポイントカード」に対応
※2015年11月に名称変更、現在は “楽天ポイントカード”
さらにスマートで使いやすいサービスを目指し、アップデートを繰り返しているユビレジ。7月に新機能として発表したのが、楽天が運営する共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」との連携( ※2022年8月31日で連携終了)です。
「楽天市場」「楽天トラベル」など楽天グループの各ネットサービスでためられる「楽天ポイント」をリアルな店舗でもためたり使ったりできるようになりました。現在、ユビレジ導入店舗の一部のほか、全国の「サンクス」「ミスタードーナツ」「アリさんマークの引越社」なども対応しています。
というわけで、おいしくいただいたお寿司のお代をポイントでためてみましょう。スマートフォンに「楽天ポイントカード」アプリをインストールするか、店舗でカードを発行し後からアカウント情報を登録するかのどちらかでその場で簡単に利用開始できます。
今回はアプリでトライしてみます。楽天IDでログインするとすぐにバーコードが表示されるので、お会計の際に画面を表示するだけ。スキャンすると無事、ポイント付与が完了しました(通常3日ほどで反映)。追加の情報の登録などはなく、予想以上に簡単です。
会計時にワンストップでポイントの付与や利用ができるタブレットPOSレジは「ユビレジ」だけ。対象外商品があった場合に適用額を計算して、他の端末に金額を入力して――などの手間いらずで、スキャンするだけで自動で計算してくれます。忙しいお店ではポイント利用は店員さんの負担になりそうでちょっと迷ってしまうこともありますが、これなら安心でした。
通常時の還元率は100円に付き1ポイント。Webサービスと同じように「楽天ポイントカード」でも「ポイント2倍キャンペーン」などが設定されており、いつもと同じように食事や買い物するだけでちょっとお得になりますよ。覚えておくといいことありそうです。
出典:ITmedia ニュース 2015年08月10日掲載記事