明確なゴールを決める。オリンピックで金メダルを取れるのは金メダルを目標にしている人だから
この記事の要点
- お店のコンセプトはターゲット層のペルソナを押さえてロジカルに作り上げる
- お客様に「お料理はどうでしたか?」とは聞かない。お会計の時のお客様の表情がそのお客様からのお店への評価
- 社長やスタッフの人柄はサービスや製品に反映される。ユビレジの決め手もそこにあった
- 成功する人、何かを成し遂げる人は、始める前に明確な目標を掲げている。何となく、では達成できない
東京・渋谷を中心に、串焼き、肉ビストロ、イタリアン、海鮮居酒屋、など多様なジャンルのレストランを展開する株式会社グッドスパイラル。2017年に導入をいただいて以来、クラウドPOSレジ「ユビレジ」、スタッフ向けオーダーシステム「ユビレジ ハンディ」、店内向けモバイルオーダーシステム「ユビレジ QRオーダー&決済」を複数店で活用いただいています。今回は創業者である代表取締役の熊谷様に飲食店経営で大切にしていることを中心にお話を聞いてまいりました。聞き手はカスタマーサクセスグループVPの伊藤です。
どういうお客様に対してサービスを提供するのか、お店のコンセプトはカチッと決める
グッドスパイラル様はこれまで渋谷エリアを中心に、業態は串焼きをコアにしつつ多様なジャンルの店舗を展開されていますね
熊谷様:もともと起業する時に100年は続く会社を作ることを決めていました。そこでこれから100 年景気の良い街はどこだろうと考えて、当社は創業19年目ですが、その頃すでに大規模再開発が決まってた渋谷を拠点とすることにしました。交通の便もよくなり、オフィスや商業ビルができ、ビジネスやレジャーを含めてさらに活気のある街になるだろうと考えたからです。
複数の業態を展開するのは、長く続く会社を作る上でのリスクヘッジでもあります。狂牛病や鳥インフルエンザなどで一時期特定の食材の供給が止まってしまったことも記憶にあると思いますが、1業態でやっていくことのリスクを避けるためにこのようにしています。現在は、渋谷、恵比寿、西新宿に5業態10店舗を展開しています。
それぞれのお店作りはどのようにされているのですか?
熊谷様:ターゲット層、利用動機・目的、単価などをベースに、コンセプトはカチって決めます。ターゲットは若年層、女性、など曖昧なものではなく、30歳の何子さんが何人ぐらいの女子会で、わいわいガヤガヤなのか、しっぽりなのか。だから価格帯はこれくらいで、メニューはこうで、雰囲気はこうで、清潔感はこうで、サービスこうで、だからオペレーションこう、などを全部入れています。
ただ、どんなにマーケティングをしてロジカルに組み立てたとしても、初めから絶対に流行るお店なんてありません。実際にオープンして数字を見てみて思うように行っていなければ、支持されるお店になってないのではないか、売上はあるけど人件費が高いのではないか、原価のバランスが悪いのではないか、と理想の数字に近づけるように微調整しながら最終的なコンセプトを固めていきます。最初から「もうこれで100% 完璧だ」というお店はないと思います。
ターゲット層に合わせてオペレーションに至るまで徹底的に組み立てていらっしゃるので、それが柱になって大きくブレることはなさそうですね
熊谷様:はい。ただ、コンセプトを決めただけではそのブレを防ぐことはできません。人それぞれ価値観や理解に差があるので、例えば店長が変わるとブレが生じてきます。
そこで当社では決定したコンセプトを可視化してスタッフに配布し、共通理解を促しています。するとそれが基準になって、「あれ?うちのお店って元気な雰囲気のはずなのに全然元気ないよね」とか「ラグジュアリーな空間って書いてあるのに、何でここにガムテープが貼ってあるの?」など、お店のコンセプト通りに出来ているのかお互いに注意し合え、コンセプトに沿った理想のお店が作られていきます。
自分たちのお店はこうでありたい、というしっかりとした共通の認識があるからこそ、ガムテープ一つにしてもそれを許せる許せない、という考えにつながっているのですね
お会計の時のお客様の表情でお店に対する評価が通信簿のように分かる
お客様が来店して良い時間を過ごせることが大事ですよね。実際にお客様の反応はどのように見ていらっしゃいますか
熊谷様:スタッフには「お客様に『お料理どうでした?』などは聞くな」と言っています。聞いた時は大体のお客様が「美味しかった」と言ってくれる、でも本心でどう思っているかまでは分かりません。「美味しかったよ。もう来ないけどね」なのかもしれない。逆に本当に美味しかった時はお客様の方から「美味しかったよ」「また来るね」と言ってくれます。
あとは「お会計を見た時のお客様の表情を見ろ」と言っています。お会計の金額を見た時にお客様のお店に対する評価が分かります。
なるほど!お会計の時に通信簿のようにお客様の評価が分かるのですね
会社の雰囲気、代表の人柄はサービスや製品にも現れる−ユビレジ導入の決め手
2017年からユビレジを使っていただいていますが、導入の決め手は何でしたか?
熊谷様:イベントで代表の木戸さんにお会いする機会があって、まずはその人柄に惹かれました。もちろん製品として間違いがない、というのは前提なのですが。社長は言わば会社の顔、それに寄せられて似たような雰囲気の人が集まってくるというのは良くあることです。会社の雰囲気や働く人の人柄ってすごく大事だと思います。それは製品にも反映されます。ユビレジについては率直に「良い製品を作っている会社なんだろうな」と思いました。製品自体もトリガーとなるスペックを持っていると感じましたし、そこがきっかけとなって今に至っています。
ユビレジを使ってみていかがですか。我々が支援できていることはどのようなことでしょう
熊谷様:料理も何でもそうですが、定番と流行がある。時代遅れだから変えていかなければいけないことがある一方で、絶対変えてはいけないこともありますよね。レジにも流行と定番があると思っていて、最先端のレジ、今のレジはこうでなければいけない、でもレジっていうのは必ずこうであるべきだ、というものがある。ユビレジを使わせてもらいながら、取り入れるべきところ、変更すべきところはフィードバックさせてもらっています。スペックは年々上がっていっていると思います。やはり決済が早いというのは、お客様を待たせず満足度を高めたり、スタッフのストレス軽減につながりますね。
今後はFC展開で店舗数3桁を目指す
経営者として、お店の後方支援ではどのようなことを心がけていますか
熊谷様:お客様の声を拾っていくことはもちろんのこと、そこで働くスタッフの声も拾っていくようにしています。自分が考える改善点もありますが、そこにスタッフの考えも取り入れて、レジと同様に、それが定番のものなのかトレンドのものなのか、経営判断で進めていっています。舞台で演じている演者とそれを観にきた観客は目線が違います。スタッフは演者として、私は経営者でもありお客様として、お互いの意見を合わせて、来店するお客様にとってどうすべきなのか、を導き出していきます。私は言わば「一番うるさい客」ですね。
今後の展開としてフランチャイズをお考えであるとお聞きしましたが、なぜこのタイミングなのでしょうか
熊谷様:やっとフランチャイズ展開で100店舗以上を目指せる状況になった、ということが大きいです。国内で当社ブランドの店舗を3桁以上に広げていくことを考えています。
起業する方へのアドバイス
最後に、これから起業を考えている方へのアドバイスをお願いします
熊谷様:まずはゴールを決めることですね。何となく「オリンピックに出たい」と言って金メダルを取れる人はいません。「オリンピックで金メダルを取る」とそれに向かった行動を起こしている人が金メダルを取る。店舗経営も同様で「とりあえず1店舗出す」と言っている人は10店舗に拡大することはできません。私は「100店舗やる」と言って、今10店舗です。
100店舗やる、と決めた上での1店舗目だと、考え方も準備もだいぶ変わってきますね
熊谷様:はい。あとは「何で」を突き詰めること。なぜこの場所で、店舗数はそれで、売上はいくらなのか、その理由が明確になっていること。自分が何かに貢献したいからなのか、どういう人たちにどんな影響を与えたいのか、突き詰めて考えることが大切だと思います。
熊谷様、本日はありがとうございました。
株式会社グッドスパイラル(店舗名 串焼き もんじろう)
住所
東京都渋谷区恵比寿1-11-5 ジェムズ恵比寿 4F
営業時間
17:00〜23:30(Lo.23:00)
定休日
12月31日、1月1日