

目次 もっと見る
- 飲食店がリピーターを大切にしたい理由
- 飲食店のリピート率が上がらない理由
- リピーターになってもらうには「2回目」の来店が重要
- リピーターになってもらうための施策例
- 飲食店のリピーターを増やすためにお店の「地力」を上げる
- 来店履歴を把握して顧客管理に生かす
- まとめ
外食店舗経営にとって、成功を左右するのが、常連客(リピーター)の存在です。リピーターは店舗の売上を安定させるだけでなく、口コミを広げ新規顧客を集客してくれる重要な存在です。
本記事では、リピーターについて解説します。メリットや、再来店を促し来店頻度の高い常連になってもらえるおすすめの方法も紹介します。
なお、飲食店の集客アップ術については、下記の記事でも説明しています。参考にして、課題解決に取り組んでみてください。
飲食店がリピーターを大切にしたい理由
顧客の再来店が増え、常連客となれば、安定した売上を見込むことができます。まずは、既存顧客をリピーター化させることがなぜ大切か、メリットをひとつずつ考えていきましょう。
効率よく売上を上げられる
お店を運営する最終目標は、「売上」です。そしてその売上は、次のような構造になっていると言えます。
売上=(新規顧客数+リピート客数×リピート頻度)×客単価

つまり、売上をアップするためには「新規顧客数」「リピート客数(&リピート頻度)」「客単価」をそれぞれ向上させなければなりません。
まず、「客単価」を上げるのは、かなりセンシティブな問題です。価格そのものを上げると客足や来店回数に影響しかねないので、より高価なものを注文してもらったり、多くの注文を促したりする工夫を地道に重ねて行く必要があります。 では、「新規顧客数」はどうでしょうか。
絶対的な顧客数を増やすには、露出を増やしたり、広告を売ったりと情報発信をして、それなりにコストがかかってきます。 しかしマーケティングの世界では、よく『1:5の法則』という言葉が使われます。
1=既存(リピート)顧客にかかるコスト
5=新規顧客にかかるコスト

これは「新規客を獲得するには、既存客の5倍のコストがかかる」ということです。言い換えると既存の顧客であれば5分の1のコストで済むということです。
もちろん、新規顧客獲得は継続的に続けなければなりませんが、「リピート客数」を増やし、そのリピート客の「リピート頻度」を上げて常連化してもらうことが、コストを抑えた売上アップへの近道といっても過言ではありません。
新規顧客を連れて来てくれる
前述のとおり、新規顧客を増やすには販促など多くのコストがかかります。
しかし、リピート客が多ければ多いほど、その新規顧客を連れて来てくれる可能性が高まります。 まず、新規顧客と連れ立って来店してくれることもあるでしょう。また、口コミの発信源となってくれるかもしれません。友達との会話で、お店や味の感想を話題に出してくれることもあれば、SNSツールなどで投稿して紹介してくれることもあるでしょう。それがさらにシェアされて拡散されることで、さらにたくさんの人がお店を知ってくれることになります。
トレンドの影響を受けない
流行り廃りが激しい飲食業界では、人気の店舗や商品のトレンドがどんどん代わっていきます。しかし、トレンドに乗った商品を作れば、一時的に来店客が増えることがあります。ただ、このような顧客の来店頻度は少なく、続かないことが多いのが現状です。
しかし、店舗自体のファンであるリピーター客はトレンドの影響を受けません。
口コミを広げる
リピーター客は店舗のファンであるため、顧客自らSNSアプリやグルメサイトなどでお店の情報を積極的に発信してくれる傾向にあります。チラシ配布などの集客方法と比べ、口コミによる宣伝効果が期待できます。
飲食店のリピート率が上がらない理由
リピーター率が上がらない場合、店舗運営のどこかに課題がある可能性があります。要因を分析してみましょう。
料理に不満がある
まず考えられるのは、顧客が提供する料理の味に満足していないことです。
顧客が不満を抱きやすいのはコストパフォーマンスです。価格に対して、味が見合っていなければ顧客は二度と訪れません。SNSやグルメサイトで、自店の評価を確認してみましょう。
店のオペレーションに不満がある
店舗オペレーションに問題がある場合もあります。例えば、料理の提供や会計に時間がかかる、対応が丁寧ではない、店内やトイレが清潔に保たれていない、雰囲気が悪いなど、
スタッフの対応に不満を持つ場面は無数に存在します。
飲食店で重要な3種類の要素を、言葉の頭文字を使って「QSC」と呼びます。
- Quality:品質
- Service:サービス
- Cleanliness:清潔さ
対策として、まずはQSCの徹底から見なおすのがよいでしょう。
リピーターになってもらうには「2回目」の来店が重要
リピーターと言っても、2回目の来店者もいれば、3回、4回と何度もいらっしゃるお客様がいますよね。実は、重要なのは「2回目」のお客様になってくれるかどうかです。
よく、1回来たお客様が2回目に来店してくれる可能性は4割程度で、3回目に来てくれる可能性は8割になる、と言われます。
初回来店→(40%)→2回目来店→(80%)→3回目来店

つまり、いちどリピートしてくれればその後に何度も来てくれるお客様になる可能性が圧倒的に高まるのです。「一見さん」から「再訪客」になってくれるための工夫やアプローチが何より大切だということです。
【参考記事】
こちらではパレートの法則などもご紹介していますので参考にしてみてください。
常連さんと一見さん。どちらも心地よく過ごせるお店づくりをしよう
リピーターになってもらうための施策例

では、リピーターになってもらうためには具体的にどんな戦略を実施したらいいのでしょうか?成功へのカギとなるヒントを見つけましょう。
メールやSNSなどで情報を配信する
数多くの居酒屋、レストラン、カフェがある中で、まずはお店のことを思い出してもらう必要があります。
名前、メールアドレス、住所などの顧客情報を取得して、DM(ダイレクトメール)の郵送やニュースレターを打てれば、お店のことを思い出すように促すことができます。LINE@などを活用する手段もあります。今の旬の食材やキャンペーン情報、新メニューのお知らせをし、お得な情報を伝えて再訪する機会を作りましょう。
また、Twitter、Facebook、Instagramなどお店の公式アカウントをフォローしてもらいつながりを持ち、定期的にイベント情報などを掲載・発信するという手法も効果的です。従来型のポイントカードのように、会員登録時の申し込み用紙への記入などが不要で、フォローするだけと手軽なので、顧客心理的にもハードルが低くなります。
お店のSNSを紹介する紙やPOPを制作し、店内に貼っておき、フォロワーになってもらったら特別感を感じてもらえるようなお得感のある特典を用意するなどして、ノウハウをつみかさねてフォロワー数を増やしていきましょう。
2回目以降の来店時に使えるクーポンやチケットを渡す
次回来訪時に使える「○○%引き』「××のメニューが無料」「△△ご注文でドリンク1杯プレセント」といった割引クーポン券やプレゼントクーポン券を渡してもよいでしょう。実物があるので思い出してもらえる機会も多いですし、2回目に来訪する目的にもなり大きなきっかけ作りとなります。
リピーターの特典を用意する
さきほどの割引券・クーポン券と似たような施策ですが、スタンプカードやポイントカードを用意するのもいいでしょう。
10回くれば○○円引き、といったものが一般的です。ただし前述のように2回目のリピーターの重要性が高いので、2回目や3回目でも特典が得られるような工夫をしてもよいでしょう。
Googleマイビジネスを活用する
Googleマイビジネスは、潜在顧客に自店のことを知ってもらうためにも有効なツールです。
費用をかけたプロモーションも有効ではありますが、Googleマイビジネスをうまく使いこなすことができれば、それよりも大きな利益をもたらす可能性もあります。
自社のホームページやSNSを運用するだけでは、見てくれる顧客に限りがあります。しかしGoogleを通して店舗情報を登録・公開することで、自店に興味を持つ可能性のある潜在顧客に店を宣伝できるのです。
またGoogleマイビジネス上で評価が高くなり、口コミも集まればそれだけ検索上位に表示されやすくなります。Googleマップを使って飲食店を検索するユーザーも増えてきており、webで自店のPRをするにはうってつけのツールです。
Googleマイビジネスの運用をサポートしてくれるサービスもあります。「ネットは苦手!」「使い方が分からない!」という方は一度検討してみてはいかがでしょうか。
下記リンクよりお問い合わせください。
ロケコネ https://location-connect.com/service/google/ (株式会社エフェクチュアル)
飲食店のリピーターを増やすためにお店の「地力」を上げる

前章のようなさまざまな工夫でリピートを促進こともできますが、そもそもお店自体に魅力がなければ、再訪は望めません。クーポンがなくても「また行きたいな」と思ってもらえる店づくりをしましょう。
普段私たちがランチやディナーのお店を選ぶとき、何を基準に2回目以降の来店をしているのでしょうか?
「自分はなぜそのお店によく通うのだろう?」とお客様目線で考えてみると答えは案外簡単に出るものです。以下、具体例や注意点をみていきましょう。
料理と看板メニューの質を向上させる
当然、美味しい料理を提供できれば、それだけでも満足度も上がりリピート率は高まります。しかし、質の高いお店も多いので、何か特徴がなければ料理に特別良い印象を持ってもらうことは至難の業です。
そこで意識したいのが「看板メニュー」の開発です。 インパクトの強い看板メニューがあれば、思い出してもらえる確率はグンと高まります。
「○○料理といえばあのお店だよね」と認識してもらえればしめたものです。
オペレーションを改善する
リピーター獲得には、何と言っても接客が非常に大切です。料理に強いインパクトを受けなかったとしても、気持ち良い接客を受けて楽しい気分になれば、「また来よう」と思ってもらえます。 逆に料理が美味しくても接客態度で気分が害されれば「二度と来るか」と思うこともありますし、グルメサイトなどのクチコミに、味はいいけど接客がイマイチ、、、など書かれてしまうと悪い印象をもたれ集客にも影響が出てしまいます。
ご自分の体験でも、思い当たることがあるのではないでしょうか? 特に重要視したいのが、「お支払いからお見送り」です。
終わりよければ全て良しという言葉もありますが、来店時の最後に受けた体験がいちばん記憶に残るものです。 お支払いのときの立ち居振る舞いや笑顔はもちろん、できるだけ機敏に動いてお待たせしないようにしましょう。「美味しく召し上がっていただけましたか?」など、お声がけをするだけでもグンと印象はよくなります。
そしてお見送りはできるだけ丁寧に行い、送り出しましょう。 食事中は、店員側も忙しく動き回っているため、知らないうちにお客様が気分を害して不満を抱いている可能性はあります。お会計のタイミングであれば、他の業務に惑わされずそのお客様だけに向き合い対応できるので、好印象を持ってもらえるように、より意識してコミュニケーションを取るようにしましょう。
【参考記事】
接遇マナーで従業員全員の接客レベルと店舗の売上をアップしよう
会計時の接客マナーでお客様の獲得・損失につながるってホント!?
店舗の清潔さを保つ
店舗内の清潔さには注意しましょう。思っている以上にお客様は見ています。
飲食店において「清潔」を重要視するのは当たり前のことですが、特に新型コロナウイルス感染拡大の影響で以前よりも手洗いや換気がクローズアップされるようになり、2020年以降は、政府からも飲食店向けのガイドラインが提示されるなど、今まで以上に衛生面に対する意識が高まっています。清潔であるべき店内が薄汚れていたら居心地が悪いですし、「厨房も汚れているのではないか?」とネガティブに考えてしまい、気持ちよく食事ができず、次回また来ようという気持ちが減退してしまう原因にもなりかねません。
バッシング時は、テーブルの上だけでなく座席や足元に汚れがないかをしっかり確認して次のお客様をご案内するべきです。 ホール内にゴミなどが落ちていたらすぐに拾うようにスタッフ教育を徹底・改善しましょう。 トイレの清掃もできるだけマメにチェックを行い、汚れが放置されないように注意しましょう。
ストロングポイントを見つける
味や商品、接客といった基本的なもの以外で、「これがあるから来店する」というお客様がお店に期待するポイントはないでしょうか?そこに磨きをかけて、再訪する理由や要素を作りましょう。
- 注文してから届くまでのスピード
- 店員の元気の良さ、店内の活気
- 店舗独自のこだわりを感じられるメニュー
- メニューのラインナップ数
- お酒の種類
- コスパが良い
- SNSでシェアしたくなる見た目の商品がある
- テイクアウトできるメニューも充実
- クリスマスやハロウィンなどイベントごとのメニューもある
などなど……。
どのポイントでもお客様が感動するほど徹底すれば、印象に残るものです。
「あそこならすぐに料理が出て来るよ」「メニューが多いからいろいろ選べるよ」など、「○○といえばあの店」というをイメージを持ってもらえるようにしましょう。
来店履歴を把握して顧客管理に生かす

施策はターゲットごとに行うと効率的です。そのためには顧客管理する必要があります。
2回目以降の来店が増えたのかどうか、初回の来店だけになってしまったお客様を把握する必要があります。例えば、iPadレジや予約管理システムを使っていたら、そのサービスの顧客管理機能を活用しましょう。
サービスを利用していない場合、手間がかかりますが予約台帳などを利用し購入の記録などを紙で管理していきます。そのほか、クーポンやサービス券があれば、利用割合を追います。
まとめ
今回は、リピーターについて説明しました。リピーターがつくお店には、どれも「安い、スタッフのサービスがいい、雰囲気が好き」などのストロングポイントがあります。
来店客に「お店を思い出してもらう」施策を打つことで、新規獲得よりも少ない経費と労力で売上を獲得する事ができます。こちらから積極的にコンタクトを取り、お客様にお店を思い出してもらうきっかけを作りましょう。
ただ、最も大切なのは「お店の地力」です。思い出した際にまた行きたいと思ってもらえるよう、スタッフの人柄が店の隅々に表れるような魅力あるお店作りをすることも忘れないようにしてください。