

目次 もっと見る
- 飲食店のお客様に好印象を与えることの重要性
- 飲食店のお客様に好印象を与える7つのポイント
- 第一印象で店の印象も決まる!
- 正確な接客で好印象を与える
- 公平な接客を心がけましょう
- 適切な距離感をもった接客が大切
- 迅速な接客:スピーディーにサービスする
- 清潔な接客:スタッフは身だしなみや立ち振る舞いを整える
- まとめ
経営を安定させるためには、リピーターを一人でも多く確保することが必要です。それには新規のお客様にお店を気に入ってもらわなければなりません。
お客様に好印象を抱いてもらえるかどうかは、お出迎えから席に案内するまでのほんのわずかな時間で決まります。
ここでは、マニュアル通りの接客ではなく、お客様目線で接客するためのポイントについて見ていきましょう
飲食店のお客様に好印象を与えることの重要性
繰り返し行きたくなる飲食店とはどのようなお店でしょうか?「料理がうまい」「値段が手頃」ということは重要ですが、「お店の印象が好ましい」ということも大切な条件です。「スタッフの雰囲気がよい」「おすすめのメニューを詳しく説明してくれた」「食事が終わったらすぐにデザートを持ってきてくれた」など好ましい接客に触れたお客様は繰り返し来店していただけるでしょう。
逆に「いらっしゃいませの言葉がない」「注文を取りに来ない」「お冷がなくなっても入れてくれない」など間違った対応をされたお客様は二度と来店することはないはずです。初めて来店されたお客様に好印象を与えることは、リピート客を増やし、飲食店の経営を改善させます。
飲食店のお客様に好印象を与える7つのポイント
飲食店の接客には7つの基本があります。
- 第一印象:お店に入る前、入った時の印象をよくすること
- 親切:お客様の側に立つこと
- 正確:ミスしてお客様を不快にさせないこと
- 公平:全てのお客様に対して同じようにサービスすること
- 距離:お客様と適度な距離感を保つこと
- 迅速:お客様をお待たせしないこと
- 清潔:お客様に不快感を与えないこと
どれも当たり前のことかもしれませんが、一つ一つを意識してちゃんと実践することが重要です。
第一印象で店の印象も決まる!

初めての店に入るときは、店構えや看板に書かれたメニュー(黒板POP)などを見て「雰囲気もよさそうだし、これ食べてみたい」と思ってドアを開けるのが一般的ではないでしょうか。
店舗に入る前の第一印象
まずは店舗に入る前に、第一印象で選ばれる条件を考えてみましょう。
- 外観が清潔であること
- 活気が感じられること
- 店外からでもそのお店のウリや特徴が分かり易いこと
- 主なメニューや価格などが店外にも提示されていること
などなど、似た様なお店が密集している場所でこそ、他店との差別化がとても重要ですが、お客様目線ではこのような基本的なことを押さえておくことが優先されます。
では反対にお客様に敬遠されてしまうお店とはどんなものでしょうか。
- 店の入り口が乱雑で生活感が漂う
- ゴミや空き瓶などが散乱して清潔感に欠けている
- そもそも、営業しているのか閉めているのかすらわからない
- 高級感が漂い過ぎてメニューや価格表もなく敷居が高すぎる
- 何屋さんなのかもわからない
- 店の外から店内をのぞくと、活気がなく店主やスタッフがだらけている
これらは一例ですが、このようなお店は、常連さん以外には寄り付きがたい雰囲気が漂っているものです。です。
店舗に入ったときの第一印象
そして中に入った瞬間、スタッフが笑顔で「いらっしゃいませ!」と迎えてくれたら、「入ってよかった」と安心し、「きっと料理もおいしいに違いない」と期待値はさらに高まります。
しかし、その後スタッフが「こちらの席へどうぞ」とすすめたのが奥の暗い席だったらどうでしょう。窓際の席が空いているにもかかわらず、一方的に末席に誘導されたら「客のことより店の都合を優先するのか」と、第一印象は最悪のものになってしまいます。
このように、お店の第一印象はスタッフの笑顔や身だしなみだけでなく、入店時から席に案内するまでの接客スキルによって大きく左右されてしまうのです。
第一印象が与える影響
たとえば席に案内する場合は、「お好きな席へどうぞ」と自由に選んでもらう方法もありますが、それよりも「窓際の席も空いていますので、よろしければどうぞ」のように、押しつけがましくならない程度にすすめるのがベストです。それによってお客様は「客を大切にするお店」と好印象を抱き、同時に信頼感も生まれてくるため、そこからはお店のいいところに注目し始めます。
反対に、一度悪印象をもってしまうと不満がつのってきて、お店の欠点ばかり目につくようになってしまいます。気短なお客様ならそのまま帰ってしまうこともあり得ます。それでは飲食店のスタッフとしては失格です。
一流とかプロといわれる接客員は、「一度来店されたお客様には必ずリピーターになっていただく。そのためにはどうすればいいか」という高い意識をもち、お客様の期待値を超えるサービスを提供できる人のことです。
期待値を超えるサービスというのは、過剰サービスとは違います。サービスのつもりでも行き過ぎてしまうとお客様を恐縮させて、逆に居心地を悪くさせてしまうことがありますから混同してはいけません。
初めてのお客様に好印象を与えるためには、「自分がお客さんだったら」という相手目線で判断することがいちばんです。そのように考えれば、お客様が何を望んでいるか、今何に困っているかを察することができ、声かけのタイミングや提案のしかたなどもスムーズにできるようになるはずです。
親切な接客①:おすすめメニューをしっかり伝えよう
お客様がすでに注文する料理を決めている場合は別ですが、メニューを見ながら迷っているようであれば、席に近づいて行って「本日のおすすめメニューはこちらの〇〇〇でございます」とメニューを指し示し、食感や調理法などについて説明します(事項参照)。
単に「本日のおすすめはこちらです」だけですませるお店がありますが、これではお客様にはなぜおすすめなのかわからず、食べてみたいという動機づけにはならないでしょう。おすすめメニューはリピーターになってもらうための最大の要素ですから、その料理のおいしさが伝わるように説明することが大切です。
親切な接客②:料理説明でお客様の興味を引こう
おすすめメニューに限らず、それ以外の料理についてもお客様から食材や調理法などを尋ねられたときに、いちいちキッチンに行って聞いてくるようなことのないよう、スタッフ全員が理解しておく必要があります。お客様が知りたい情報と、それに対する応え方の一例をあげてみましょう。
- 食味……甘さ控えめ、甘酸っぱい、まろやか、さっぱり、ピリ辛、濃厚など
- 食感……さくさく、もちもち、ふんわり、かりかり、プリプリ、ジューシーなど
- 量(ボリューム)……ひと口で、たっぷり、一皿でお二人分など
- 相性のよい飲み物……ワインなら赤か白か、日本酒なら甘口か辛口かなど
- 食材・産地……採りたて、新鮮な、今が旬の△△、北陸産、自家製など
- 調理法……じっくり煮込んだ、焼き立て、蒸した、カラっと揚げたなど
これらはメニューブックにも書き込んでおきますが、スタッフの口から直接伝えるほうがおいしさが伝わりやすく、それだけオーダーにつながりやすくなります。
スタッフがメニューの内容についてきちんと説明できることによって、お客様のお店に対する信頼感が高まります。また、お客様の目的に合ったメニュー、たとえば誕生祝いであればそれにふさわしい料理と飲み物を提案することができ、よりいっそう楽しんでもらうことができます。
親切な接客③:笑顔で対応して好印象を与える
接客する際には笑顔で対応してください。笑顔でお客様に接することで、親近感や信頼感が生まれます。スタッフがお客様に感謝する気持ちがあれば、自然と笑顔になるはずです。また口角をあげて笑うことで、より自然な笑顔が生まれます。
笑顔で対応すれば、お客様とのコミュニケーションがスムーズに進みます。接客時にはお客様と視線を合わせて話しましょう。視線をそらせて話すと不信感や不快感を与えてしまいます。また話し声の大きさやトーンに気を配り、明るいものにしてください。
笑顔と声でお客様に好印象を与えることは、飲食店の接客で非常に大切です。好印象が得られれば、リピーター獲得にもつながります。
親切な接客④:お手洗いの対応で印象が変わる!
初来店時の接客でもう一つ大切なこと、それはトイレの場所を案内することです。お客様が店内をきょろきょろ見回しているときは、すぐに近づいて行って「お客様、ご用件をお伺いいたします」とまず声をかけます。
トイレかもしれないと思っても、携帯電話をかけるために外へ出ようとしている場合もありますし、ほかの用事かもしれませんので、ワンクッション置くことが大切です。お客様に「トイレは?」と聞かれたら「ご案内いたします」とトイレのほうへ誘導しましょう。
段差がある場合などは「こちら足元にお気をつけください」と注意を促し、トイレ近くまで来たら「トイレはこの右奥でございます」のように手で示します。この対応があるだけで、いい印象を持ってもらえる確率があがるのです。もちろん、トイレをいつでも清潔にしておくことを忘れずに。
正確な接客で好印象を与える
料理の注文を受けるときや配膳時には正確に対応してください。お客様が来店されたときは、すぐに注文を伺いに行きます。注文を受けるときは、注文内容を復唱して確認しましょう。配膳時も注文とどおりか再確認が必要です。さらに会計時にお釣りを間違えないようにしてください。
1人のお客様に複数のスタッフで対応する際は、スタッフ間でお客様の情報を共有するとよいでしょう。お客様は1人のスタッフに伝えれば、当然他のスタッフも心得ていると考えます。したがってスタッフごとに対応が異なると、不信感を抱かれるかもしれません。
たとえばお客様の注文内容、アレルギー、好き嫌いなどの情報です。1人のスタッフが得た情報をメモなどで他のスタッフと共有してください。大きな声で伝えると、他のお客様の耳に入り、プライバシーの侵害になりかねません。
情報をもとにして適切に接客すれば、お客様に好印象を与えられます。お店全体で迎えてくれていると伝われば、お客様の信頼感が生まれ、再来店にもつながるでしょう。
公平な接客を心がけましょう
どのお客様にも同じように公平なサービスを提供することが大切です。お客様のニーズや状況に合わせて、なるべく同じように快適な空間や満足感を提供してください。たとえば料理の配膳は先に注文したお客様を優先するのが原則です。もし順番が異なる場合は、お客様に理由を説明しておきましょう。
常連客をあからさまにひいきしたり、身なりや人種、注文品などで差別したりしてはいけません。またその日によってスタッフの体調や気分で接客態度が変わることがないようにしてください。公平な接客を心がければ、お客様に満足していただき、リピーターの獲得につながります。
適切な距離感をもった接客が大切
接客マナーを考えるうえで、お客様との距離感をどの程度に保つかはとても重要です。初めてのお客様にあまりなれなれしい態度では失礼になりますし、かといってかしこまった態度では緊張させてしまうばかりです。
心理学では、人間には無意識のうちに他人と距離を取って、快適に過ごせる「パーソナルスペース」を保とうとする働きがあるとされています。その距離は大きく4つに分類されます。
- 密接距離(恋人や家族)~45㎝
- 個体距離(友人)45~120㎝
- 社会距離(仕事関係者)120~360㎝
- 公衆距離(演説する人と聴衆の関係)360㎝~
飲食店でのお客様とスタッフの場合は、3の社会距離が適切とされています。これは相手に直接手が届かず、顔の表情の微妙な変化を見るのも難しい距離です。
飲食店の場合、料理や飲み物をお客様に運ぶときは密接距離にならざるを得ませんが、お客様が静かにしていたいと思っているときに話しかけたり、連れのお客様と会話中のところに割り込んだりすることのないよう、パーソナルスペースということを意識した行動を心がけるのも接客マナーの1つといえるでしょう。
迅速な接客:スピーディーにサービスする
お客様の来店から会計まで、すべての行程において、待ち時間を最小限に抑え、スピーディーにサービスすることが大切です。スタッフのテキパキとした対応は、お客様に好印象を与えます。お店の混雑時にも慌てることなく、効率のよいサービスを提供するため、スタッフの動線も整えましょう。
また迅速な対応だけでなく、ていねいな言葉づかいや笑顔、気配りなど、お客様に寄り添う接客も必要です。配膳時は、「お待たせしました。ごゆっくりお召し上がりください」などの声掛けを心がけてください。
清潔な接客:スタッフは身だしなみや立ち振る舞いを整える
スタッフは清潔な服装を心がけましょう。髪形を整え、男性はひげをそり、女性は厚化粧しないこと。香水はNGです。アクセサリーや腕時計は派手なものは避けてください。ネイルアートは飲食店で配膳するには不適切でしょう。
立ち姿勢は、かかとをそろえ、つま先を軽く開き、背筋を伸ばし、胸を張ります。お客様と対話する際には、視線を合わせてください。お客様が背丈の低い方の場合、スタッフは腰をかがめてお客様と目線の高さを合わせるとよいでしょう。歩くときも背筋を伸ばして静かに移動します。
まとめ

新規のお客様が再来店してくれたとしたら、好印象を与えることができたからですが、大事なのはむしろ2回目の接客です。初回で名前まで教えてもらうのは難しいかもしれませんが、顔だけは覚えておくようにしましょう。
そして、再来店したときに「先日はありがとうございました」のひと言を添えれば、お客様は「覚えていてくれた」と感動し、お店の好感度・信頼度は一気に上昇します。それには初来店時にお客様の特徴をメモする習慣をつけることが大切です。