

目次 もっと見る
- お会計時の英語を覚えておく理由
- お会計時の英語フレーズ〜基本編〜
- お会計時の英語フレーズ〜シーン別応用編〜
- お会計の英語に必須!英語での数字表現とは?
- 英語研修は必要?
- その他のインバウンド対策
- まとめ
外国人旅行客が日本を訪問することを旅行業界ではインバウンドといいます。来日すれば当然買い物もしますし、アミューズメントパークにも行きますが、何をおいても絶対に消費するのが食事です。日本人もそうですが、海外旅行をしたときにはその土地の食べ物を食べることが何よりの楽しみであることが多いのではないでしょうか?つまり、飲食店でもインバウンド対策をしっかり練っておくことで、1つのビジネスチャンスを生かせます。その時にしなければならないことは、メニューの整備などの他に、言葉の問題です。とはいえ、いきなりスタッフや店長が英語に堪能になることは考えられません。
そこでここでは、優先順位が高い「お会計時の英語はどのような表現をすればよいのか」という点について、基本編と応用編の2つに分けてご紹介します。
お会計時の英語を覚えておく理由

なぜ英語を覚えておく必要があるのか、店舗に外国人観光客が来た覚えはないという人もいるかもしれません。しかし、それは「過去」であって「今後」は来店する可能性がかなり高いのです。それは以下のような状況だからです。
日本のインバウンド状況
まずは、現在の日本のインバウンド状況について触れておきます。
日本政府観光局のデータによれば、2024年に日本を訪れた外国人観光客は3687万人で、コロナ禍前の最大数3188万人を上回っています。さらに石破総理大臣は、2030年に訪日外国人旅行者を6000万人に増やす目標を掲げました。2015年に流行語大賞に選ばれた「爆買い」に象徴されるように、以前の来日外国人観光客の主な目的は買い物でした。しかし2025年1~3月期における来日外国人旅行消費額の費目別構成比は、宿泊費33.4%、買い物代29.3%、飲食費22.5%となっています。
また来日外国人観光客は、日本旅行で1人約22万円使うと言われています。そのうち飲食代として1人5万円を支出しています。日本での平均滞在日数は9泊となり、1日約5,600円弱の支出です。これは店舗の日本人の来店客と比較しても多いのではないでしょうか。
外国人観光客の目的が「買い物」というモノ消費から、日本の「食や文化」に触れるコト消費に移ってきているのです。その意味でも、今まで外国人旅行者が来たこともない飲食店に、急にインバウンド客が来ることになるかもしれません。つまり、インバウンド客を積極的にビジネスチャンスにしていく必要があるのです。
英語が話せたほうがいい理由とは?
外国人観光客が来日した時の最大の不満のひとつは、「言葉の問題」とされます。「訪日外国人旅行者受入環境整備に関する調査(2023年11月~2024年2月)」によれば、来日時の不満点は以下の通りでした。
1位 ゴミ箱が少ない:30.1%
2位 施設等のスタッフとコミュニケーションがとれない(英語が通じない等): 22.5%
3位 多言語表示観光案内板等が少ないし分かりにくい :13.4%
4位 公共交通の利用方法:12.8%
この結果から言葉が通じないという不満が多いことが分かります。
現在の来日外国人観光客の大部分は中国や台湾、韓国、香港といった東アジアの人です。2025年1~3月期の国籍・地域別にみる訪日外国人旅行消費額と構成比は、中国24.0%、台湾13.9%、韓国12.4%、米国9.6%、香港6.8%でした。
彼らの母国語は英語ではありませんから、むしろ中国語、韓国語の習得の方が重要なようにも思えます。しかし、一方ではアメリカ、イギリス、フランスなどの欧米諸国や、タイ、ベトナムなどの東南アジア諸国からも来日する外国人観光客も増えてきており、欧米人は当然として、東南アジア人もほぼ英語が話せます。
また世界最大の英語能力指数ランキングによると、各国の英語能力は、中国は低く、台湾は標準的、韓国は標準的、香港は標準的(ちなみに日本は低い)という結果です。また出発前に役に立った旅行情報源の言語は、英語50.3%、韓国語24.5%、中国語(繁体字)23.5%、中国語(簡体字)17.1%でした。中国人も、日本に旅行する程度に裕福な人はある程度英語が話せる確率が高いので、まずは英語から優先的に対応すべきなのです。
しかし、お出迎えのあいさつ、メニュー説明、食べ方説明、お会計、お見送りといった一連の流れの全てのシーンで、英語対応できるレベルに店舗のスタッフを教育するのは非常に困難です。現実的には、その中で特に重要な部分、つまり間違った場合にトラブルになるお会計の場面での英語対応だけでも準備するのが最も効果的です。まずは、優先順位の高いシーンの一つ、お会計時の英語から学びましょう。
お会計時の英語フレーズ〜基本編〜

英語にも、日本語と同様に細かな文法があります。つまり、英語の文章を構成する決まりや規範が作法として確立されているのです。しかし、お会計時に使用する英語フレーズは、そのような理屈を気にするのではなく、「よく使うフレーズ」そのものを丸暗記するのが最も早道でしょう。以下に、お会計時によく使う基本フレーズをご紹介します。
お会計お願いします。
英語にも、日本語と同様に細かな文法があります。つまり、英語の文章を構成する決まりや規範が作法として確立されているのです。しかし、お会計時に使用する英語フレーズは、そのような理屈を気にするのではなく、「よく使うフレーズ」そのものを丸暗記するのが最も早道でしょう。以下に、お会計時によく使う基本フレーズをご紹介します。
お会計お願いします。
(お客様)Just my check, please. (アメリカ英語)
(お客様)Just the bill, please. (イギリス英語)
お会計は2600円になります。
Your total is 2,600 yen.
The total is 2,600 yen.
Your total comes to 2,600 yen.
お支払いはご一緒になさいますか?別々になさいますか?
Would you like to pay all together or separately?
Will you be paying together or separately?
7,400円のお返しです。
Here is your change: 7,400 yen.
7,400 yen is your change.
お釣りです。
Here’s your change.
レシートはいりますか?
Would you like a receipt?
Did you need a receipt?
Do you need a receipt?
ご来店ありがとうございました。
Thank you. Have a good day.(朝から日中まで)
Thank you. Have a good night.(夜)
Thank you for visiting us.
これだけでも話せれば、とりあえずはお会計時のやり取りは何とか無事に済ませることができるでしょう。まずはこれをしっかり覚えましょう。
お会計時の英語フレーズ〜シーン別応用編〜

上記のようにスムーズにお会計が済むことは少ないかもしれません。そのような時のために、お会計のシーン別の英語フレーズも覚えておけば安心です。
レジをご案内する場合
お支払いはレジでお願いします。
Please pay at the cash register.
Please pay at the register.
こちらでお会計をいたします。
You can pay here.
You can settle your bill here.
I’ll take care of your payment here.
This is where you can pay.
申し訳ありませんが、列に並んでお待ちください。
Excuse me. Please wait in line.
I’m sorry, but please wait in line.
We apologize, but please wait in line.
列に並んでください。
Get in line, please.
Stand in line, please.
列の後ろに並んでください。
Please get in line at the back.
Please stand at the back of the line.
お会計金額を伝える場合
当店の割引券はお持ちですか?
Do you have our discount coupon?
Do you have a discount voucher for our store?
お会計は2600円でございます。
That’ll be 2600 yen.
Your total is 2600 yen.
お支払いはご一緒でよろしいですか?それとも別々がよろしいですか?
Would you like to pay together or separately?
お支払いはご一緒でよろしいですか?
Would you like to pay together?
Would you prefer to pay together?
別会計になさいますか?
Do you need split checks?
Would you like to pay separately?
この金額には消費税が含まれています。
This price includes tax.
This price includes the sales tax.
This amount includes sales tax.
お金を受け渡しする場合
あと100円足りません。
I’m afraid you paid 100 yen too little.
You are 100 yen short.
100円多いです。
That’s 100 yen too much.
ちょうど頂きます。
You gave me the exact amount.
おつりが小銭ばかりで申し訳ありません。
Sorry, I can only give you small change.
申し込わけありません、ただ今おつりが切れています。
We’re sorry, but we’re out of change at the moment.
1万円をお預かりしましたので、おつりが7400円です。
Thank you for the 10000 yen. Here’s your 7,400 yen change.
You gave me 10,000 yen, so your change is 7,400 yen.
I received 10,000 yen, so I will give you 7,400 yen in change.
先に大きい(お札の)ほうをお返しします、7000円のお返しです。
I’ll give you the larger bills first. Here’s 7,000 yen in change.
Your change is 7,000 yen, and I’ll start with the larger bills.
The larger amount will be returned first, 7,000 yen.
おつりを受け取ってください。
Please take your change.
Here is your change.
おつりをお確かめください。
Please make sure your change is correct.
Please check your change.
おつりが7400円と領収書です。
Here is your change of 7,400yen and your receipt.
どうぞご確認ください。
Please check your change.
領収証を発行する場合
お宛名はなんとお書きいたしましょうか?
How would you like the name to appear on the receipt?
What name would you like on the receipt?
但し書きはディナー代でよろしいですか?
Shall I write “Dinner fee” as the description?
Would you like me to put “Dinner fee” as the note?
カード支払いの場合
お支払いは現金ですか?クレジットカードですか?
Would you like to pay by cash or card?
Will you be paying by cash or credit card?
カードはこちらの一覧の中にあれば支払えます。
We take these cards.
手数料はかかりません。
There is no handling charge.
カードをお預かりします。
May I have your card, please?
I’ll take your card.
暗証番号を入力してください。
Please enter your PIN.
Please type your PIN.
サインをお願いできますか。
Please sign your name here.
Sign here, please.
May I have your sighnature?
カードのお返しです。ありがとうございました。
Here is your card. Thank you very much.
カードによっては、ご利用いただけない場合もあります。
Some credit cards may not be accepted.
こちらのカードはご利用いただけないようです。
I’m afraid your card has been rejected.
申し訳ありませんが、こちらのカードはお取り扱いしておりません。
Sorry, but we do not accept that credit card.
I’m sorry, we don’t accept this card.
お客様のカードはご使用できなくなっています。
Unfortunately, your card cannot be used.
This card is not valid.
Your card is no longer valid.
他のカードはお持ちですか?
Do you have any other card?
支払方法を断る場合
申し訳ありませんが、お支払いは円のみとなっております。
Sorry, we only accept yen.
こちらでは現金しかお使いいただけません。
We only accept cash.
Excuse me. Cash only.
申し訳ないですがクレジットカードはご利用頂けません。
I am sorry but we don’t accept credit cards.
We’re sorry, but credit cards are not accepted here.
トラベラーズチェックは、受け付けておりません。
We don’t accept traveler’s checks.
外貨はご利用いただけません。
We don’t accept foreign currencies.
支払いは日本円でお願いします。
Please pay in Japanese yen.
両替はできません。
We don’t provide currency exchange.
こちらにミスがあった場合
申し訳ありません。お会計が誤っていました。
We’re very sorry, but there was a mistake on your bill.
もう一度計算します。
Let me double check it.
より丁寧に見送りをする場合
この後も良い時間を過ごしてください。
Enjoy the rest of your day.
またのご来店をお待ちしております。
Thank you very much. We are looking foward to serving you again.
We are looking forward to seeing you again very soon.
お会計の英語に必須!英語での数字表現とは?

英語での数字の表現について、簡単に解説しておきます。
まずは数字表現における大前提の原則から覚えましょう。日本語の数表現では、実は4ケタ区切りです。
1 ⇒ 一(いち)
10 ⇒ 十(じゅう)
100 ⇒ 百(ひゃく)
1000 ⇒ 千(せん)
1,0000 ⇒ 一万 (1 まん)
10,0000 ⇒ 十 + 万
つまり、万以降は数字+万、数字+億で4ケタ区切りです。
これに対して、英語では3ケタ区切りです。「千円」を「1,000円」と3ケタで「,」を入れて表現するのは、それと連動しています。それを踏まえて、以下の英語での数字表現を見てください。
1 ⇒ one
10 ⇒ ten
100 ⇒ hundred
1,000 ⇒ thousand
10,000 ⇒ 10(ten) + thousand
100,000 ⇒ 100(one hundred) + thousand
したがって、例文に出てきた数字は以下のように読みます。
7400円⇒「seven thousand four hundred yen」
ですから12600円などの場合は、「twelve thousand six hundred yen」になります。 お会計時には必ず使いますから、数の読み方はマスターしておきましょう。
英語研修は必要?

このような英語を、全ホールスタッフが覚える必要があるのでしょうか?外国人観光客の来店が多い店であれば、時間をとって研修をする必要があるかもしれません。代表的な英語の研修会社を紹介します。金額など考慮して、自分の会社・店舗にあった研修を導入してみましょう。
- ベルリッツ・ジャパン
http://www.berlitz-sd.jp/ - アイザック
http://www.isaac.gr.jp/ - ECC法人向けサービス
http://www.biz.ecc.co.jp/
しかし、1日1組か2組の外国人観光客が来店する程度であれば、全スタッフによる英語研修は不要でしょう。
- 覚えるのはお会計を担当する可能性のあるスタッフだけでよい
- 紙を見ながら話してもよいので、レジにマニュアルの用意だけをしておく
- 覚える時間がない場合、あるいはお会計担当のスタッフが手を離せない場合のために、上の文章をポップにしておき、話す代わりに該当の文章を指さすだけでもコミュニケーションは取れる
最初から山の頂上を見ると昇る気になりません。まずはできる部分からしっかり準備を始めましょう。
その他のインバウンド対策
インバウンド対策として英語の重要性を解説してきましたが、外国人観光客を母国語で対応するのに越したことはありません。特に飲食店の注文や会計時には、間違えないように母国語で対応するのもよいでしょう。そのためには外国語で注文や会計ができるITツールがおすすめです。
セルフオーダーシステム
セルフオーダーシステムは、テーブル上のタブレット、スマートフォン、店内にあるタッチパネルで注文から会計まで行うITツールです。
多言語に対応しているシステムを導入すれば、外国人のお客様は自国の言葉を選び注文から会計までできるのでストレスがありません。
「ユビレジ」には、セルフオーダー機能が含まれています。詳細はリンクページを御覧ください。
キャッシュレス決済
最近はクレジットカードを初めとして、QRコード、デビットカード、電子マネーなどのキャッスレス決済に対応することがあたりまえになりました。特に外国人の利用率が高いのが特徴です。
ユビレジには、キャッシュレス決済機能が含まれています。詳細はリンクページを御覧ください。→ユビレジのキャッシュレス決済
まとめ

いかがでしょうか。
外国人観光客の特徴は、旅行の経験をFacebookやInstagramなどのSNSにほぼ必ずアップすることです。その国を旅行しようとするほかの外国人観光客はSNSから情報を仕入れ、実際にその店や場所を訪れ、またSNSにアップしてというように、その情報がどんどん拡散していくのです。このようにいい口コミが流れれば、宣伝・広告などを使わなくても、知らない間に自分のお店が外国人観光客の間で人気店になる可能性は十分にあるのです。実際に、日本では特に名店でもない「普通の店」が台湾での人気No.1の飲食店になっているケースもあります。そういったよい口コミの1つに「英語でしっかり対応してくれた」ということがあがっています。
こうしたことを踏まえ、今回ご紹介したフレーズをしっかり覚えてもらい、安心して外国人観光客が来店できる店を目指しましょう。そしてインバウンドを活用した繁盛店になりましょう。